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太陽光発電投資で利益を出すための4つの条件と6つのコツを徹底解説

太陽光発電投資は他と比べて安定した利益が見込めるため、キャッシュフローの計算がしやすくリスクも低くなっています。

東日本大震災以来、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの需要は高まる一方で、政府の後押しもあり国の制度に裏打ちされた安定感も魅力的です。

これから個人で太陽光発電投資を始めるみなさんは、こう思っていませんか?

太陽光発電投資をある程度は理解したけれど、本当に利益が出るかどうか不安だなぁ。

失敗して大きな損失が出たらどうしよう。

しかし、物件の条件やコツさえわかれば利益を出せる可能性は十分あります。

この記事では一級建築士として太陽光パネルを設置した物件に関わったことがある私が、太陽光発電投資で利益を出すための条件とコツを紹介します。

ぜひ最後までお読みください。

太陽光発電投資で利益を出すための4つの条件

太陽光発電投資では、パネルを設置する敷地やその周辺環境が重要です。

ここでは、4つの条件について解説します。

  1. 日射量
  2. 方角
  3. 周辺環境
  4. 地盤の形状や強度

【太陽光発電投資の条件1】日射量

日射量が多い地域を選ぶことが必要です。日射量が多い地域に太陽光パネルを設置すると、太陽光による発電量が多くなり売電量も増えます。

例えば、日照時間が長い地域ほど太陽光パネルは日照を受ける時間が長くなり、日射量が増加します。

また、同じ日照時間においても天候の違いにより日射量は異なります。降水量が少ない地域ほど日射量が増加します。快晴のときの日射量を100%とする場合、曇りのときは20~40%、雨のときは10~20%、雪のときは0~10%程度になります。

日照時間や降水量は気象庁の過去のデータやランキング形式でまとめているサイトを参考にして、条件の良い地域を選びましょう。

日照時間が長い地域を例にあげると、太平洋沿岸地域の宮崎県、高知県、群馬県などです。降水量が少ない地域を例にあげると、山梨県などがあります。

【太陽光発電投資の条件2】方角

太陽光パネルを設置する方角は南向きであることを確認し、北向きは避けましょう。

方角により日照時間が大きく異なり、南向きが一番多く日射を受け発電量も大きくなるからです。

南向きの日照時間を100%とする場合、東向き・西向きでは約85%、北向きでは約65%まで縮小してしまいます。

もちろん、敷地によっては南向きで設置することが不可能な場合もあります。その場合は、できる限り南向きに設置できる方角で日照時間を検討し、十分な発電量が得られるかどうか確認が必要です。

【太陽光発電投資の条件3】周辺環境

太陽光パネルを設置する敷地の周辺に日差しを遮る家屋や樹木などがないかどうか確認しましょう。

遮蔽物が存在すると太陽光パネルに影がかかり発電量が低下しますが、わずかな影であっても発電量は著しく低下してしまいます。

例えば、太陽光パネルは大まかに3つの部位に分かれていることが多いです。そのうち1つの部位にごくわずかであっても影がかかると、その部位の全体が発電しなくなります。つまり、太陽光パネル全体の3分の1が発電しなくなるのです。

よって、敷地周辺に家屋や樹木が存在しないかどうか確認が必要です。また、家屋や樹木が存在する場合は、遮蔽物となり太陽光パネルに影がかかるかどうかまで検討しましょう。

【太陽光発電投資の条件4】地盤の形状や強度

太陽光パネルを設置する地盤は強度が強く平坦であることが必要です。

凹凸が激しい地盤の場合、太陽光パネルを設置する前に整地作業をするため、その整地費用が余分にかかります。軟弱な地盤の場合、地盤改良など補強に必要な費用も余分にかかります。事前に地質調査結果の確認が必要です。

あくまで一例ですが、50kWの太陽光発電に必要な面積は約2,500㎡、草地を整地する費用は約2,000円/㎡です。よって、整地費用は以下のような金額になります。

2,500㎡×2,000円/㎡=5,000,000円

また、地盤改良の場合は整地費用の4倍以上です。

非常に大きな出費となるため、物件を契約する前に把握しておきましょう。

傾斜がある地盤に太陽光パネルを設置する場合は、地すべりや土砂崩れが発生して太陽光パネルが破損する恐れがあります。地すべりについては地質調査結果を確認し、土砂崩れについてはハザードマップにより豪雨などの恐れがないか確認しましょう。

太陽光発電投資の条件に加え6つのコツも紹介

ここでは、太陽光発電投資の6つのコツについて解説します。

  1. 太陽光パネルのメーカー保証
  2. 仲介業者の選定
  3. 投資期間を20年で想定する
  4. 出力抑制が起こった地域に注意する
  5. 近隣を確認する
  6. 自分の目で現地を確認する

【太陽光発電投資のコツ1】太陽光パネルのメーカー保証

保証が充実した太陽光パネルメーカーを選定する必要があります。

太陽光パネルを通常通り運用していたにもかかわらず、不具合が発生する可能性があるからです。

例えば、周辺機器の故障に備えたシステム保証があります。特に、直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナーは、太陽光発電システムの中で唯一の駆動部であり一番寿命が短い部分です。

このような故障に対するシステム保証は、太陽光発電において一番重要な保証です。

【太陽光発電投資のコツ2】仲介業者の選定

個人で太陽光発電投資を始める場合、ほとんどの人が仲介業者に依頼することになります。

特に会社員のように本業がある場合は、太陽光パネルのメンテナンスに要する時間の確保はほぼ不可能です。仲介業者は太陽光パネルの契約手続き、設置、運用までサポートするため、個人の手間や負担が大幅に減ります。

過去の実績が豊富な仲介業者であれば、蓄積されたノウハウにより利益の確保やスムーズな契約手続きが可能です。仲介業者選定の際に、過去の実績を確認しましょう。

また、前述したメーカー保証に加え、自然災害に対する災害保証や経年劣化による出力保証など保証制度がしっかりしているかどうかも確認しましょう。

【太陽光発電投資のコツ3】投資期間を20年で想定する

投資期間はFITが適応される20年間を想定してください。

FITは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」という正式名称です。太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取る制度のことです。

売電価格と期間は以下の表のとおりです。

  1kWhあたり調達価格等/基準価格※1
  入札制度適用区分 50kW以上
(入札制度対象外)
10kW以上
50kW未満※3
10kW未満
2021年度(参考) 入札制度により決定(第8回11円/第9回10.75円/第10回10.5円/第11回10.25円) 11円 12円 19円
2022年度 入札制度により決定※4(第12回10円/第13回9.88円/第14回9.75円/第15回9.63円) 10円 11円 17円
2023年度 入札制度により決定 9.5円 10円 16円

調達期間/
交付期間※2

20年間 10年間

 

※1 FIT制度(太陽光10kW未満及び入札制度適用区分を除く)は税を加えた額が調達価格、FIT制度の太陽光10kW未満は調達価格、FIP制度(入札制度適用区分を除く)は基準価格、入札制度適用区分は上限価格。
※2 FIT制度であれば調達期間、FIP制度であれば交付期間。
※3 10kW以上50kW未満の事業用太陽光発電には、2020年度から自家消費型の地域活用要件を設定する。ただし、営農型太陽光発電は、3年を超える農地転用許可が認められる案件は、自家消費を行わない案件であっても、災害時の活用が可能であればFIT制度の新規認定対象とする。
※4 入札制度適用対象は、FIT新規認定は250kW以上、FIP新規認定は1,000kW以上。ただし、2022年1月17日以前に設置されている建物の屋根に設置する場合は入札制度の適用対象としない。
引用:経済産業省 資源エネルギー庁 FIT・FIP制度

目安として初期費用、メンテナンス費用、システムの処分費用などを回収できる投資期間は10~20年の間です。投資期間10年以内で全てを回収することは困難です。また、投資期間20年以降はまだ前例がなく売電価格がどう変動するかわかりません。

よって、投資期間は20年で想定しましょう。

【太陽光発電投資のコツ4】出力抑制が起こった地域に注意する

電力会社は電力の需給バランスを保つために、一時的に電力の買取りを停止することがあります。太陽光発電による電力供給が過剰な場合、電力の需給バランスが崩れ停電になる恐れがあるからです。

これまでに出力抑制を実施している電力会社を以下にあげます。

  • 北海道電力
  • 東北電力
  • 中国電力
  • 四国電力
  • 九州電力

 (東京電力、中部電力、関西電力は実施していない) 

いまだに出力抑制を実施していない東京電力、中部電力、関西電力の範囲で物件を探すことも一つの選択肢です。または出力抑制保険に加入し、出力抑制を受けても売電価格を保証してもらうことも対策として考えておくといいでしょう。

【太陽光発電投資のコツ5】近隣を確認する

近隣からの苦情によるトラブルをリスクとして想定しておかなければいけません。これまでに発生した近隣トラブルの事例を以下にあげます。

  • 太陽光パネルの設置により周辺の自然の景観を損ねる
  • 太陽光パネルの反射光が近隣の生活に害を与える
  • 太陽光パネルから発生する電磁波により近隣住民が体調を崩す
  • 周辺機器の一つであるパワーコンディショナーから騒音が出る
  • 敷地内の雑草の駆除を怠り害虫が発生する

仲介業者からこれまでに経験した近隣トラブルの事例を聞き出し、さまざまなリスクを回避しましょう。

【太陽光発電投資のコツ6】自分の目で現地を確認する

物件の目途がある程度立った段階で、実際に物件の敷地を見にいきましょう。現地に行かないと気付かないことはたくさんあります。

周囲に空いている敷地がある場合は、建造物が将来建設され太陽光パネルの日差しを遮る可能性があります。もしくは既に家屋がある場合は近隣のトラブルにならないかどうか確認することも必要です。

樹木がある場合も注意が必要です。既に日差しを遮っている樹木だけでなく、将来的に成長することにより日差しを遮る樹木もあります。

人生の中で大きな買い物となるため、必ず現地に足を運び実際の状況を確認しましょう

太陽光発電投資は今からでも遅くはないのか

太陽光発電投資を今から始めても遅いのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、実際は今から始めても決して遅くはありません。その理由を以下の3つにあげます。

  • FITにより売電価格が一定
  • 初期費用も低下している
  • 中古物件を購入する選択肢もある

FITにより売電価格が一定

FITにより一定の売電価格と売電期間が約束されているため、投資開始から20年にわたり売電価格が下がることはありません。そのため、安定した収入を確保できます。

また、安定した収入により収支のシミュレーションがしやすいのも太陽光発電投資の特徴です。他の投資は社会情勢などの不確定要素により収入が変動するため、太陽光発電投資は投資初心者にとっても始めやすい投資です。

初期費用も低下している

たしかにFITにより定められた売電価格は年々低下しているため、投資開始時期が遅いほど定められた価格は低下します。しかし、同時に太陽光発電のシステム導入における初期費用も年々低下しています。

以下のグラフは経済産業省 資源エネルギー庁から公開されている初期費用の推移です。想定値であるため実際の金額とは異なりますが、概ね同じように低下する推移をたどっています。

引用:経済産業省 資源エネルギー庁 太陽光発電について

前述した50kWの太陽光発電を例にあげると、初期費用は以下の通りになります。

2017年 : 24.4万円/kW×50=1,220万円
2021年 : 14.2万円/kW×50=710万円

中古物件を購入する選択肢もある

現在よりも売電価格が高い時期にFITを取得済みの中古物件を購入する選択肢もあります。これから購入する新しい物件よりも高い売電価格が定められているため、大きな収益に繋がるでしょう。

注意点として、中古物件は経年劣化により発電能力が低下している可能性があります。しっかりとメンテナンスされているかどうかを購入前に確認することが必要です。

太陽光発電投資の初期投資費用はどれくらいの期間で回収できるか

太陽光発電投資で初期投資費用を回収できる期間は目安として10~20年です。

あなたがこれから太陽光発電投資を始める際に、以下の内容をあなたの物件と照らし合わせてみてください。主に表面利回りと実質利回りで考えた場合について説明します。

  • 表面利回りで考えた場合
  • 実質利回りで考えた場合

表面利回りで考えた場合

表面利回りは売電収入と初期費用のみで計算して、メンテナンス費用などの年間支出を考慮しません。あくまで簡単に計算できる参考程度の数値です。以下の式で表します。

表面利回り=年間売電収入÷初期投資費用

たとえば年間売電収入が200万円、初期投資費用が2,000万円の場合、表面利回りは以下の通りです。

200万円÷2,000万円=10%

実質利回りで考えた場合

実質利回りは表面利回りにメンテナンス費用などの年間支出を考慮して計算します。初期投資費用をどれくらいの期間で回収できるか検討する場合は、実質利回りを確認しましょう。

実質利回り=(年間売電収入―年間支出)÷初期投資費用

前述した例において、年間売電収入が200万円、初期投資費用が2,000万円に加え、年間支出が30万円の場合、実質利回りは以下の通りです。

(200万円-30万円)÷2,000万円=8.5%

この場合100÷8.5≒12年間で初期投資費用を回収できることがわかります。

【太陽光発電投資の注意点】2022年度から始まったFIP

2022年からFIPという新しい制度が始まりました。

ここでは、FIPについて解説します。

  • FIPとは
  • FITとFIPどちらがいいか

FIPとは

FIPとは「フィードインプレミアム(Feed-in-Premium)」の略で、2022年4月から開始した制度です。

FITのように電気を固定価格で売電するのではなく、卸市場などの売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せして売電します。

このプレミアムを上乗せすることにより投資のインセンティブを促進させ、再エネをさらに普及させることが目的です。

FITとFIPどちらがいいか

専門家たちの意見によるとリスクが少ないFITを選ぶ方が無難と言われています。

FITのメリットは電気を一定の価格で売電できることです。一方で、FIPのメリットは売電価格が変動するため、FIT以上の価格で売電できる可能性があることです。

しかし、売電価格が変動するということはFITの売電価格を下回ってしまう可能性もあるため、FIPのデメリットとも言えます。

FIPによる売電価格は以下の式で計算されています。

「市場収入」+「プレミアム」―「バランシングコスト」

これら市場収入、プレミアム、バランシングコストの3つは市場によって変動します。

特にバランシングコストは電力会社へ計画通りに電気を送ることができなかったときに発生するペナルティ料金です。

バランシングコストを抑えることは非常に難しく、アグリゲーターという仲介業者へ手数料を支払い依頼する必要があります。

よって、FIPよりリスクが少ないFITをおすすめします。FITとFIPが適応される条件は電力の規模によって区分されます。あなたの太陽光発電システムがどの位置に区分されているか確認しましょう。

まとめ

太陽光発電投資で利益を出すための内容を解説しました。

他の投資と比べて太陽光発電投資はリスクが低く、利益を出しやすい投資です。とはいえ大きな資金が必要になるため正しい知識をもって取り組み、さまざまなリスクを回避することが大切です。

ここで解説したことを参考にして、最適な物件を探してみてください。

  • この記事を書いた人

向井

こんにちは、Webライターの向井です。 このサイトでは主に金融・不動産関連の情報を発信していきます。

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