「中古物件を購入してリフォームするコツを知りたい。」
「どんなリフォームが効果的なの?」
「リフォームで失敗して大きな損失を出したくない。」
中古物件は新築と比べると購入価格が低く資産価値も下がりにくいため、収益物件としてとても人気です。その中でも、中古物件をリフォームして賃貸管理する手法は、初期費用を抑えながら家賃収入の値上げも期待できる投資です。
この記事を読めば、中古物件を上手くリフォームして収益を得るコツや、大きな損失を出さないための注意点がわかります。一級建築士として住宅の案件に携わった経験がある私が、わかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みください。
不動産投資で中古物件をリフォームする4つのメリット
中古物件を購入してそのまま運営するよりも、リフォームすることで多くのメリットを得られます。
これから中古物件を購入予定の人は、以下のメリットを参考にしてリフォームまで視野に入れてみてください。
- 安いコストで投資
- さまざまな物件作りが可能
- 高い利回り
- 中古物件の選択肢が拡大
1. 安いコストで投資
新築とほぼ同等の物件作りを安いコストで実現できます。入居者のニーズに合わせた意匠や設備が整った物件を新築で購入する場合は多額の費用が必要です。しかし、中古物件を購入してリフォームすると、安いコストで理想の物件を用意できます。
例として、物件購入とリフォームを500万円以内に抑えて賃貸管理を始める人もいます。不動産投資初心者にとっても少ないリスクで安心してできる投資です。
2. さまざまな物件作りが可能
入居希望者を増やすために、そのニーズに合わせた物件作りができます。周辺環境や競合物件の入居者の特性を調査することで、そのニーズに合わせたリフォームができるからです。
例えば、女性向けの物件を作る場合、古い雰囲気の壁紙や床材を張り替えて女性が好む色や素材にするなど、さまざまな物件作りができます。また、ユニットバスをバス・トイレ別にリフォームすることで、中古物件であっても最新のトレンドに合わせられます。
3. 高い利回り
物件の購入価格に対して家賃収入の比率が大きくなり、表面利回りが高くなります。新築物件を購入するよりも、中古物件を購入してリフォームする方が安いからです。
表面利回りの計算式は以下のとおりです。
新築物件の場合:表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格
中古物件をリフォームする場合:表面利回り=年間家賃収入÷(物件購入価格+リフォーム費用)
利回りが高いということは、初期投資した費用を回収する期間が短くなり、リスクが低くなります。
4. 中古物件の選択肢が拡大
リフォームすることで賃貸管理できる中古物件はたくさんあるため、投資用物件としての選択肢が増えます。高い収益性が見込める人気のエリアであっても、中古で安価に購入できる物件は多く存在します。
しかし、新築物件は競争が激化している、または高額で売買されているなどの状況により、選択肢が限られるエリアもあるため注意しましょう。
不動産投資で中古物件をリフォームする2つのデメリット
中古物件のリフォームは計画通りに進めると大きな収益につながる反面、失敗すると大きな損失を出す可能性があります。
事前にデメリットをよく理解してリフォームを計画しましょう。
- 建物構造上、契約上の制約
- 想定外の修繕
1. 建物構造上、契約上の制約
物件の構造や契約上の制限により、リフォーム内容も制限されることがあります。例えば、床材に遮音性の基準が定められている場合、その基準を満たした床材を選ぶことが必要です。
水回りでは、下階への騒音防止のためにキッチンや浴室などの移動を禁止している物件もあります。物件購入後、計画通りにリフォームできるように、購入前にこれらの制限のチェックが必要です。
2. 想定外の修繕
物件の経年劣化により想定外の修繕が必要なことがあります。表面上では分からなかった問題が購入後に発覚するからです。例えば、排水管の詰まりや腐食などは、実際にリフォームを開始するまで分かりません。
このような想定外の修繕が発生する場合、予定していた修繕費用を大幅に超えることがあります。そのため、物件購入前に過去の修繕履歴の確認や専門業者により建物調査して、経年劣化による問題がないかチェックが必要です。
不動産投資で中古物件をリフォームするまでの3つの手順
リフォーム仲介業者に依頼すると、一つの窓口(ワンストップ)で物件購入とリフォーム工事までサポートしてくれます。
ここではリフォーム仲介業者に依頼した場合の手順を解説します。
- リフォーム仲介業者の選定
- リフォームする中古物件選び
- 中古物件購入
1. リフォーム仲介業者の選定
各リフォーム仲介業者のホームページを見て、最適な業者を選定します。これまでのリフォーム実績をチェックすることで、リフォームの技術力を比較検討できます。
リフォーム後のアフターサービスや保証の内容もチェックしておきましょう。リフォーム完了までだけではなく、その後も定期点検や無料修理など手厚いサービスを提供する業者が存在します。
2. リフォームする中古物件選び
物件選びはできる限り現地まで足を運び、自分自身の目でチェックしましょう。内装の雰囲気や水回りの使いやすさなど、状況把握は非常に重要です。共用部分や敷地の清掃状況も、入居者の居住性を大きく左右します。不明な点はリフォーム仲介業者に質問しましょう。
なお、この段階でキャッシュフローのシミュレーションや管理規約のチェックをします。高い利回りを期待できるか、計画しているリフォームは規約に違反しないか、購入後に大きな問題に気が付いたときは既に手遅れです。
3. 中古物件購入
希望価格、引き渡し時期などの購入条件について、リフォーム仲介業者を通して売主と交渉します。双方が合意すると物件が引き渡され、一般的にリフォーム工事はその後に開始します。
しかし、売主の了解が得られる場合、引き渡し前にリフォーム担当者による物件の事前チェックが可能です。担当者はリフォームに必要な材料の手配など早めに段取りできるため、リフォーム工事も早めに終わり余裕を持って賃貸管理を開始できます。
リフォームする中古物件選びのコツ
中古物件はリフォームまでを視野に入れると選択肢の幅が広がります。しかし、選択を大きく間違えるとリフォームの効果がなくなり、入居希望者が現れず無駄な費用だけがかかってしまうでしょう。
ここでは、物件の選び方のコツについて解説します。
- ターゲットとする入居者
- 築浅の中古物件
ターゲットとする入居者
物件選びで重要なことは立地条件であり、まずは立地を調査します。物件の内部はリノベーションにより変更できますが、立地は一度決まってしまうと後で変更できないからです。ターゲットとする入居者を誰にするかで立地が決まります。
若い単身層をターゲットにする場合は、都心の通勤の利便性や繁華街へアクセスしやすいターミナル駅沿線などエリア選びが重要です。できれば駅近がいいですが、近年では価格上昇により利回りの悪い物件が多いので注意が必要です。
地方都市のファミリー層をターゲットにする場合は、都心や郊外に限らず学校、保育園、商業施設、治安の良さを好む傾向があり、エリア選びの幅は若い単身層より広がります。
国勢調査のデータをチェックするとそのエリアに住んでいる人の年齢層がわかります。ターゲットによりどのエリアでどのような物件を望むか明確にすることが重要です。
築浅の中古物件
中古物件の中でもなるべく新しい築年数の物件を選ぶ方がいいでしょう。築年数が古い中古マンションは大規模な修繕が必要な場合があり、大きなコストがかかるからです。
たしかに中古物件でも設備の入れ替えは可能ですが、配管や回線の導入など、拡張性が限られてしまう可能性があります。その場合、購入後に大幅な設備の導入で想定外のコストがかかります。
買い手がなかなか現れず、激安で売りに出されていると思われる物件は要注意です。中古物件は購入価格だけではなく、大規模な修繕が必要ないかチェックすることが重要です。
中古物件をリフォームするときの利回りの目安
目安とする利回りは10%以上です。
例えば、中古物件を300万円で購入し、リフォームに200万円かけた場合を考えます。5万円の家賃が見込めるとすると、利回りは以下のようになります。
5万円×12÷(300万円+200万円)×100=12%
よって、この場合の利回りは10%以上となり、収益の見込みがあるという判断です。
また、リフォーム費用をx万円、利回りを10%とした場合、以下の式が成り立ちます。
5万円×12÷(300万円+x万円)×100=10%
∴x=300万円
よって、目安としてリフォーム費用を300万円までかけられ、それ以上の費用をかけるときは要注意です。ただし、空室などのリスクの大きさは物件により異なるため、利回りはあくまで判断基準の一つとして考えてください。
おすすめのリフォーム方法
想定した入居者のニーズに合わせたリフォームが必要です。工夫次第では、安価に新品同様の物件作りも可能です。
ここでは、おすすめのリフォーム方法について解説します。
- 需要の高い設備を導入
- 間取りの変更
需要の高い設備を導入
想定した入居者のニーズに合わせたリフォームを計画することが必要です。賃貸物件情報サイトのアンケートなどを参考にすることで、単身層やファミリー層の需要の高い設備をチェックできます。
例えば、単身層とファミリー層とともに最も人気が高い設備は無料インターネットです。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務やオンライン授業が増えたことが大きな理由です。物件所有者がインターネット会社と契約して無料で使えるようにすることで、入居者ニーズに対応できます。
その他、断熱性の高い窓や浴室の追い焚き機能も人気です。このように、想定した入居者のニーズを調査することで、入居希望者が増えるリフォームを計画できます。
以下のグラフはアンケート結果の一例です。
【単身者編】家賃が上がっても欲しい設備
引用:GMO 賃貸DX|【単身者・ファミリー別】入居者が選ぶ家賃が上がっても欲しい設備ランキング
【ファミリー編】家賃が上がっても欲しい設備
引用:GMO 賃貸DX|【単身者・ファミリー別】入居者が選ぶ家賃が上がっても欲しい設備ランキング
間取りの変更
間取りの変更により、現代のニーズに対応しましょう。例えば、3点型ユニットバスを導入している中古物件がありますが、今では人気がありません。そこで、ユニットバスをバス・トイレ別に改装することで、入居希望者を増やせます。
現代の傾向として広々としたLDKも人気です。これまでのリビング・ダイニング・キッチンがそれぞれ独立した間取りは、多くの人が不便に感じるようになりました。細かく分類されている部屋の壁を撤去して一体化することで、広々としたLDKの間取りを作れます。
このような間取り変更の際は、物件の構造や契約上の制限により撤去不可能な壁があるため、購入前にチェックが必要です。
壁紙や床材を安価に張り替え
壁紙や床材の張り替えにより、安価で簡単に部屋の雰囲気を変えられます。新築物件同様の清潔感が得られるとともに、入居者のニーズに合わせたデザインを取り入れられます。
実際のニーズとして、高級な雰囲気よりも新品同様の清潔感がある方が人気です。よって、壁紙や床材は比較的安い新品を頻繁に張り替えることで、入居希望者の増加につながります。
中古物件リフォームの失敗事例4選
これまでの失敗事例を知ることで、リフォームにおけるリスクを回避できます。
ここでは、失敗事例について解説します。
- 賃貸管理開始の遅延
- 中古物件の激しい老朽化
- 耐震基準を満たしていない中古物件
- 自分の手でリフォーム
1. 賃貸管理開始の遅延
賃貸管理の開始時期に遅延が発生することがあります。リフォーム中に設備内部の不具合が判明し、想定外のリフォームを追加で行ったことが原因です。
例えば、浴室の水回りをリフォームする際、水道設備の不具合が判明し、浴室のみならずキッチンまでまとめてリフォームが必要になることがあります。予定していた賃貸管理開始時期に家賃収入を得られずローンの返済だけが始まってしまうため、資金繰りに苦労します。
リフォームでは予想外の事態が起こり得るため、その期間を十分確保したスケジュール管理が必要です。
2. 中古物件の激しい老朽化
物件を自分の目で見ずに購入すると、想定外のリフォームが必要になる恐れがあります。実際に、激しい老朽化が物件購入後に判明し、補強工事に大きな費用がかかることがあります。
結果として、新築物件を購入する金額とさほど変わらず、家賃収入は中古物件と同程度のため、購入価格とリフォーム費用をなかなか回収できません。
周辺の物件と比較して著しく価格が低い場合は、必ず大きな原因があります。物件に自ら足を運び、状況をチェックしたうえで購入しましょう。
3. 耐震基準を満たしていない中古物件
昭和時代に建てられた物件の多くは、現在の耐震基準を満たしていません。このような物件を知らずに購入してしまった場合、耐震補強工事が必要となり多額の費用がかかります。物件購入前に、新しい耐震基準(1981年6月1日以降)を満たしているかどうかチェックが必要です。
4. 自分の手でリフォーム
リフォーム費用を抑えるために自らがDIYにより工事すると、失敗してコストや作業日数が余分にかかるため非効率です。品質も悪くなるため入居者からクレームが入る恐れもあります。
あまり経験がない人は十分な予算を確保してリフォーム業者に依頼しましょう。結果として安くなり、リフォームの作業日数の短縮や品質確保にも繋がります。
【まとめ】入居者ニーズに合わせたリフォーム計画が重要
中古物件を購入してリフォームする方法について解説しました。
リフォームすることを前提とした中古物件選びは、選択肢の幅が広がりさまざまな戦略を立てられます。
想定した入居者ニーズに合わせてリフォームして、入居希望者を増やしましょう。
ここで解説したことを参考にして、物件選びとリフォーム計画をしてみてください。