マレーシアは日本人のアンケートで住みたい国ランキング14年連続1位を獲得しています。
特にクアラルンプールはマレーシアの首都であり、大きな経済成長を遂げている魅力的な地域です。そこでは不動産投資をする日本人も多く、特に不動産投資のピークであった2013~2014年には利益を出している人が多くいました。
そのような中で、これから不動産投資を始めようと考えている人はこう思っているのではないでしょうか。
「今からでもクアラルンプールの不動産投資は上手くいくのか?」
「日本の不動産投資と違って、押さえるべきポイントやコツは何があるのか?」
「クアラルンプールは興味があるけど、不動産投資で失敗したくない。」
今からクアラルンプールで不動産投資を成功させるには、中古の物件でキャピタルゲイン(物件購入価格と売却価格の差分による利益)を狙いましょう。
この記事を読めば、今からクアラルンプールで不動産投資を成功させるための戦略がわかります。実際にこれまでマレーシアの建築工事に約2年間携わってきた私が、業務を通じて得た知識を交えて解説します。
ぜひ最後までお読みください。
【クアラルンプールの魅力】不動産投資成功の3つの可能性
ここでは、クアラルンプールで不動産投資が成功する3つの可能性を解説します。
- 経済成長による不動産価格の値上がり
- 人口増加と生産年齢人口の割合
- 日本人が住みたい国「世界No. 1」
1. 経済成長による不動産価格の値上がり
多くの外国企業がマレーシアへ進出し投資をしていることもあり、経済成長率は高く毎年4~6%ほどで成長しています。以下のグラフはマレーシアの経済成長率の推移です。
こうした背景もあり、マレーシアで不動産投資をすれば不動産の値上がりを期待できるため、キャピタルゲインで大きな利益を出せることが考えられます。
2. 人口増加と生産年齢人口の割合
マレーシアは人口増加率が高い国です。特にクアラルンプールの人口は、マレーシア全体の約1/4と大きな割合を占めています。
以下のグラフはマレーシアの人口推移を表しています。このグラフからも人口増加が多いとわかるでしょう。
人口増加が多いということは不動産の需要が供給を上回るということであり、不動産投資で収益を得る好条件になります。
また、生産年齢人口の割合は約69%です。日本の約58%と比較すると非常に高く、経済成長に拍車をかけています。
以下のグラフはそれぞれマレーシアと日本の人口ピラミッドです。これを見ると、マレーシアの人口がいかに若い世代の割合で占めているかわかります。
図 マレーシアの人口ピラミッド(2022年)
引用:PopulationPyramid.net|世界の人口ピラミッド(1950~2100年)
図 日本の人口ピラミッド(2022年)
引用:PopulationPyramid.net|世界の人口ピラミッド(1950~2100年)
3. 日本人が住みたい国「世界No. 1」
マレーシアは14年連続(2006~2019年)で日本人が住みたい国「世界No. 1」に選ばれています。日本人にとってマレーシアは住みやすい国の一つです。実際に私が住んでいたときもそのように実感しました。
主に以下の理由があります。
- 食べ物がおいしい
- 物価が安い
- 親日国である
- 英語が通じる
- マレーシア語が覚えやすい
私たち日本人が不動産投資でマレーシアに赴くことは、あまり苦にならないでしょう。
クアラルンプール不動産投資をする4つのメリット
経済成長が著しいクアラルンプールの特徴を理解すれば、不動産投資で上手く利益を出せます。
ここでは、クアラルンプールで不動産投資をする4つのメリットを解説します。
- 人口増加に伴う不動産需要の拡大
- 日本人でも不動産所有権を取得できる
- 不動産価格が比較的安価である
- 日本人の入居も狙える
1. 人口増加に伴う不動産需要の拡大
前述したようにマレーシアは人口増加率が高いため、その分不動産の需要も増えています。特にクアラルンプールの人口増加率はこれまでの10年間で39.1%です。その近郊50km圏内のSerembanという都市の28.4%と比較すると大きな差です。
クアラルンプールに人口が一極集中した理由には、主に以下のことが考えられます。
- 外国人労働者数の増加
- ビジネスの拠点として多くの企業が進出
- 観光客の増加とそれによる魅力の拡大
このように、クアラルンプールでは人口増加に伴い安定した不動産需要が期待できます。
2. 日本人でも不動産所有権を取得できる
マレーシアでは、外国人も一部の地域で土地の購入が認められています。
同じ東南アジアのベトナムやフィリピンなどでは、外国人の土地の所有は一切認められていません。
登記の方法は土地と建物を登記するフリーホールドと、建物のみのリースホールドの2つに分類されます。どちらに該当するかどうかは、不動産仲介業者などに確認しましょう。
3. 不動産価格が比較的安価である
物価水準が日本の1/3程度と言われるマレーシアでは、不動産価格も日本と比べて1/3程度です。
マレーシアの不動産価格が安い理由は3つあります。
1つ目は、2006年頃まで外国人の不動産購入に対する規制が厳しく、不動産需要が低下したからです。
2つ目は、人口密度が低いからです。マレーシアの国土面積は33.1万㎢であり、日本の37.8万㎢と比較すると9割程度あります。しかし、マレーシアの人口は2022年時点で約3,260万人であり、日本の人口約1億2,592万人の1/4程度です。よって、その分住宅用地が多く土地価格が比較的安くなります。
3つ目は、マレーシアには地震・台風などの災害がほとんどありません。よって、建築物の耐震基準は日本のように厳しくなく、建築コストが抑えられているからです。
4. 日本人の入居も狙える
前述したとおり、マレーシアは日本人が住みたい国「世界No. 1」であることから、購入した不動産に日本人が入居する可能性があります。
日本人は部屋の使い方がきれいであり家賃滞納のリスクも低いため、想定外の支出が少なく、安定した収益の見通しを立てられます。
クアラルンプール不動産投資をする3つのデメリット
クアラルンプールの不動産投資で利益を出すために、デメリットも押さえておきましょう。
ここでは、クアラルンプールで不動産投資をする3つのデメリットを解説します。
- 利回りが低い
- 新興国の通貨リスク
- 建物の品質が悪い
1. 利回りが低い
マレーシアの不動産投資は表面利回りが約4.8%と低く、実質利回りはさらに低くなります。
例を挙げると、クアラルンプールの高級住宅街で日本人居住者が多いモントキアラの物件は、約100万リンギットで購入できます(1リンギット当たり約30円)。インカムゲイン(家賃収入)は1年間で約4.8万リンギットです(1カ月で約4,000リンギット)。
表面利回りの計算式は「1年間のインカムゲイン」÷「物件購入価格」で、この例を計算すると以下のようになります。
一般的に考えて表面利回りは7%以上ほしいところなので、4.8%は非常に低いでしょう。税金、管理費、修繕費、仲介手数料などを考慮すると、実質利回りはさらに低くなります。
インカムゲインのみを考慮して利益を出すことは困難です。
2. 新興国の通貨リスク
マレーシアのような新興国と呼ばれる国の通貨にはリスクがあります。
理由は、政治や社会情勢によって通貨が暴落する可能性があり安定しないからです。
新興国の通貨は高い成長性と収益性を期待できる反面、リスクとしてとらえている投資家は少なくありません。
3. 建物の品質が悪い
日本と比較してマレーシアの建物の品質は劣ります。
マレーシアの建築現場に従事している作業員の多くは出稼ぎ労働者であり、高度な技術を持っていないからです。
例えば、建物の骨組みを構築する工事には主に、鉄筋工事、型枠工事、コンクリート工事があります。日本ではそれぞれの工事につき1社ずつ専門業者が請け負いますが、マレーシアではすべての工事を1つの専門業者のみが請け負う形態です。
つまり、マレーシアでは1つの専門業者がさまざまな工事を浅く広く作業するため、日本と比較して技術力が劣ります。
物件の完成後に発生する漏水などの不具合については、随時修繕していくことを想定しておきましょう。
【注意】クアラルンプール不動産投資で押さえておきたい規制
マレーシアにはその国特有の規制があり、この規制を知らないまま不動産投資を始めると大きな損失につながります。
ここでは、クアラルンプールの不動産投資で押さえておきたい規制を解説します。
- 最低購入価格
- 不動産購入時に許認可の取得が必要
- 登記済証の発行に時間がかかる
- キャピタルゲイン税がかかる
最低購入価格
マレーシアで外国人が購入できる不動産には最低価格が定められており、100万リンギット以上の物件に限定されています。最低価格を下回る物件は州政府から購入の許可が下りません。
日本円に換算すると約3,000万円(1リンギット=30円で換算)であり、ある程度の資金が必要です。
長期滞在ビザを持っている人や、州によっては50万リンギット以上と定めている場合もあるので、詳細については不動産仲介業者に確認しましょう。
不動産購入時に許認可の取得が必要
外国人が不動産を購入するためには州政府の許認可の取得が必要です。
許認可の申請をすると州政府の審査を受けることになりますが、審査が通らないことは一般的にありません。しかし、審査は2~3カ月と時間がかかるため注意が必要です。
もし、物件が完成した時点で審査中の場合は、引き渡しを受けられません。審査から許認可の取得までにかかる日数と、引き渡し時期の確認が必要です。
登記済証の発行に時間がかかる
日本と同様にマレーシアにおいても不動産を所有するためには、登記済証の発行が必要です。しかし、マレーシアでは登記済証を発行するまでに数カ月かかることが多く、1年以上かかることもめずらしくありません。
日本の金融機関でローンを組む場合、登記済証の提示を求められる可能性があります。借り入れた融資を不動産投資に利用したという証拠を、金融機関は確認することがあるからです。
登記済証を発行できない状態では、不動産の所有権を法的に主張できずリスクを負うことになります。万が一、あなたが購入した不動産の所有権を第三者が主張した場合、あなたは抵抗する手段がありません。
前述した許認可の取得とともに登記済証の発行にかかる日数も確認しておきましょう。
キャピタルゲイン税がかかる
マレーシアで不動産を売却する場合、売却益に対してキャピタルゲイン税という税金がかかります。マレーシアでは不動産譲渡益税(Real Property Gains Tax)と呼ばれています。
税率は所有期間によって異なり、物件取得から5年目までは売却益の30%、6年目以降は10%です。よって、6年目以降に売却することをおすすめします。
他にも不動産投資にかかるマレーシア特有の税金がありますが、このキャピタルゲイン税は非常に大きな金額です。キャピタルゲイン税がいくらかかるか、不動産購入の時点であらかじめ確認しておきましょう。
キャピタルゲイン税を整理すると以下の表になります。
保有期間 | 個人(外国人) | 個人(マレーシア人) | 法人 |
取得日より3年以内 | 30% | 30% | 30% |
4年目 | 20% | 20% | |
5年目 | 15% | 15% | |
6年以降 | 10% | 5% | 10% |
引用:SEKAI PROPERTY マレーシア不動産投資のメリット・デメリットを徹底解説!
クアラルンプール不動産投資のリスク
海外ではその国々により文化の違いがあり不動産投資にも影響します。
ここでは、クアラルンプール不動産投資のリスクを解説します。
- 工事が完成しない
- 不動産の空室リスク
工事が完成しない
マレーシアを含む東南アジアの多くの国では、物件が完成する前の段階で購入することがよくあります。これをプレビルドといい、その物件をプレビルド物件といいます。
物件完成後の価格が購入時より高くなることで利益を得ることも戦略の一つです。しかし、物件が完成せず途中で終わってしまうリスクもあります。その場合、既に支払った手付金や中間金は返金されません。
よって、プレビルド物件はおすすめしません。
どうしてもプレビルド物件を購入する場合は現地の大手デベロッパー、または日系のデベロッパーが開発する物件を選ぶことでリスクを軽減できます。
不動産の空室リスク
クアラルンプールの物件でも賃貸付けに苦労するエリアがあります。物件を選ぶときにはどのようなポイントを確認するべきか、不動産仲介業者など現地の状況が詳しい人に相談しましょう。
公共交通機関の駅、商業施設、医療機関、教育機関などが近くにある場所を選ぶときは、想定される入居者を明確にすることも重要です。
物件購入後の維持管理においても苦労することがあります。
これから不動産投資をするあなたは普段日本にいるケースが多いでしょう。その場合、現地の管理会社はあなたを優先度の低い顧客とみなす可能性があります。あなたの物件に対する優先度が低くなり、維持管理がおろそかになります。
管理会社とコミュニケーションを密に取り、物件の維持管理を適切にしてもらい空室リスクを抑えなければいけません。管理会社がどの程度まで維持管理をして、状況報告をしてくれるか確認が必要です。
【戦略】中古物件でキャピタルゲインを狙う
クアラルンプールで不動産投資を成功させるために、中古物件を購入してキャピタルゲインを狙うことをおすすめします。売却のタイミングは前述したキャピタルゲイン税が10%に下がる6年目以降です。
インカムゲイン(家賃収入)で利益を出すことは困難です。
たしかに、物件には中古物件の他に、完成する前の状態で購入するプレビルド物件もあります。
しかし、プレビルド物件でキャピタルゲインを狙うことはおすすめしません。
プレビルド物件は完成時の価格が購入価格より高くなる期待ができる反面、完成せず手付金や中間金が返金されないリスクもあります。
私もクアラルンプールに住んでいたときは、建設途中で止まってしまった物件を実際にいくつか見かけました。
よって、プレビルド物件ではなく中古物件を購入してキャピタルゲインを狙いましょう。
【まとめ】クアラルンプール不動産投資では中古物件を購入
クアラルンプールの不動産投資で成功するための戦略を解説しました。
マレーシアは日本人にとって非常に魅力的な国です。
しかし、マレーシア特有の条件を把握しないままで不動産投資を始めてしまうと、大きな損失に繋がります。
ここで解説したことを参考にして、最適な中古物件を探してみてください。